島野先生のメッセージ

考えることをとめるな ~病態追求の先~

常に病態メカニズムを考える、なぜ,どうして、自分で考えるクセを身につけてもらいたいと思います。その習慣が環境を内面をかえていく事に繋がります。ガイドラインに頼るな、オミクス解析に任せるな、上の言ったことを鵜呑みにするな。その営みがひとりひとりの小さな進歩、発見にモチベーションに繋がり大きな実を結ぶことになるかもしれません。合言葉はドグマを崩せ!

臨床の場での学び

臨床医養成機関としては、糖尿病専門医、内分泌専門医、動脈硬化専門医を一定の割合で排出できる大学教育機関として県内と都心部の教育施設ネットワークの構築が必要と考えています。教育人材育成、拡充が急務です。専門医や教育層の育成には数年から十年かかります。

代謝内科で大切にしている学びは

  • 内科的な診療:1つ1つをアセスする
  • 治療が可能な内分泌診療のかぎ:患者の症状所見を見逃さない 診断が患者の運命をきめる
  • 代謝内科:病態メカニズムを考える
  • 心の医療:患者の生活や心に思いを馳せる チーム医療の真骨頂です
  • 予測の医療:今だけでなく将来のコントロールを考えた治療 合併症の予防や健康寿命を見据えて

併せて一言で言うと学生や研修医にも繰り返し伝えていることですが、病態を考えろ、考えることをとめるなです。常にどうして、なぜと病態や治療経過について自問自答する考えることを旨とします。
医療は膨大な経験知に基づく営みです。SCIENCEとしての医学はあとからついてきたともいえる。統計的サイエンスを備えさせたのがEBM、でもなぜそうなのか?それこそが医学の醍醐味ですが、膨大な知識はプロセスの蓄積で本質的なことほどを実はブラックボックスが多い。幸い、内分泌代謝学は、そのブラックボックスを紐解くことができることが多い学問領域です。つまり考えれば突き詰めれば答えが出せ得る。だから考えましょうと薦めるわけです。
さらに深めるには研究をしましょう。知はITC,AIに任せることになり、我々の強みは智慧です。またそこが楽しいところです。これからグループに入る人達には楽しい学びの第一歩としてタイミングはまちまちですがどこかで大学院に進む事を薦めています。

キャリアパスの視点から

ひとり一人にあっては、その人のそのときの人生がありますから柔軟な対応したいと思います。先端医療をやりたい人、研究でやっていきたい人、人を育てることに興味のある人、地域医療を担いたい人、自分の城を築きたい人、他人とは違うあたらしい人生を求めたい人、、、、。大学は、様々な可能性をめざす人がそれぞれの人生において少なくとも一時は学ぶべき場として、根をしっかりはってつながりを広げる幹としての存在であるべきと考えています。先述のとおり常に物を考える医師、研究医になっていただくために。

研究キャリアアップを目指す人たちに

研究に真剣に取り組もうとするのであれば、それなりの覚悟を持ってきてください。一線の研究に邁進する意欲と勇気を。その覚悟に応えるだけのものをみなさん自身に返すつもりです。日本の若手の研究ばなれやポスドク問題等、将来への不安は、その状況や不安に負けないresilience(逆境対応力)とcoherence(なんとかなる感)を持って臨めば、結果的には先輩たちのキャリアパス実績が語るようにうちからはそれほど心配なことにはなりません。のびのびと頑張ってください。不安を抱えることから逃げること、安全や保険を優先することがジリ貧の原因です。
多様性を持たせた弾力のある科をめざす、またそのためには皆さんが固定されるのでなく各ネットワーク間で循環するシステムも必要かと思います。“循環”は空間だけでなく、時間的に女性のキャリア支援は筑波大学では積極的に進められています。当科でも様々な理由で時間は限られているけれどもやる気のある夢のある人達に、協力しあって効率的な新しい仕事やキャリアのあり方を弾力的に模索していきたいと思います。
専門集団ですから、代謝や内分泌をよくわかっている、造詣が深い事は前提となりますが、その他の得意分野、興味、医学以外、性格、主義信条、パーソナリティについて多様性を重んじていきたいと思います。その個人個人の多様性を科に内包、融合させることが、組織としての弾力性と剛性に重要であると思います。
システムとしてメンバーひとりひとりの様々な可能性を支えるには、組織としてある程度の規模をめざさねばなりません。是非我々のグループにジョインして、自分の道を造り自分を昂めると同時に、よいグループ作りに参加してください。みなさんが代謝内科の未来を造り支えるという気概をもって。

大学の将来

平成がおわるにあたり、世界や日本の社会の仕組みや物の考え方などが、変革の時期に迎えているようです。医学は社会に必須ですからその存在そのものにかわりないでしょうが、医療のあり方は実は社会の変化よりもコンサバというか変化が遅い傾向があります。逆に言うと医療関係者は世の中から取り残されやすいともいえます、しかし間違いなく変化は社会と連動しますから、われわれも医局という形態から新しい組織を創造しなければなりません。
たとえば、東京一局集中から、地域分散型の社会が日本の持続可能なありかたといわれています。つくば学園都市にある我々はどのような大学、大学病院、内科、内分泌代謝を担うべきか、温故知新をどう実現するか準備をしなければなりません。意欲があればチャンス年、その変化や未来を楽しむグループにしていきましょう。
既存のシステムや考え方では対応できないと思います。トライアンドエラーになるでしょうが、シニアの経験と若い皆さんの意欲や柔軟な考え方の融合を試みていきたいと思います。